未来人と未来史
LAB 未来人と未来史
わたしたちは計画、予測の収集を通して生まれた新たな視点を「未来史(historical future: HF)」と呼びます。対象とするのは、あるていど根拠をもって公表された未来であり、わたしたちが共有している史的未来(※)。すでに記述された史実としての未来です。
記述された未来は歴史の一部と思われますが、未来史は時の経過とともに変化を続けます。ある未来に関する記述は、多くの場合単一ではなく、複数あります。また、その確からしさもいろいろです。
未来が時を牽引するのか、時の枡目が未来を規定しているのか――答えをいそがず「未来であると思うこと」の変化を観測し、整理をあたえることがこのLABの目的です。
※SFの表現手法にある未来史(future history)とは別のものです。また将来予測を年表スタイルにしたものともことなります。
何のためにするのか
何のためにそれをするのか、いまのところ自信をもってお答えできるだけの確信がないのが正直なところです。未来を情報化する作業は、提供する側で完結するものではなく、設計の半分は求める人の側にあるものだと思っています。このたびLABを立ち上げたのも、多くの企業、団体の皆さんと対話しながら進めていく必要を感じたからです。
何に役立ちそうか、あえて言葉にするとしたら、わたしたちが拠りどころにしている知識や経験から、わたしたち自身が自由になるためであり、そのように役立ってほしいと願っています。
具体的に何をするのか
結局、何をするのかなのですが、このレポート欄において、おおむね月1度のペースでデータを整理したまとめや、観測のありさまをお伝えしていきます。論をたて、説をとなえるのではない、地道な観測の報告だと考えてください。それは次のようなものです。
- 総記(General Description)
未来に関心のある皆さんに、活動の方針や方向性をお伝えします。 - 未来の軌跡(Future Locus)
あるテーマに関する未来の時間的な変遷をグラフィカルに表現します。 - 月報(Future Report)
たとえば2012年は、2005年からどう見えていたでしょうか。未来のクロニクル(編年史)をまとめていきます。
この活動は1995年に構想し、2004年に現在のスタイルができあがり、2005年から足かけ8年継続してきました。FUTURE LAB 未来人としてスタートすることが決まった2010年からでさえ、まる1年以上が経過しています。忍耐強く見守っていただいた博報堂生活総合研究所、KARAPPO Inc. をはじめ、多くの皆さんに感謝します。