月刊 未来人
FUTURE REPORT MAR 10 2015
毎月10日にアップデートするデータから、見どころを選んで「月刊 未来人」としてレポートしています。冒頭のグラフは2015年から何年後に何件の予測が集中しているかを示します。ヨコ軸の数値に2015を足すことで西暦に一致します。
・該当数 217/39753
※2100年超を含む
未来の動向
未来の変わり目を予感させるもの、ユニークな取り組みを「焦点」に集めました。政府の計画など、社 会的に影響の大きな未来は「基盤」として別にまとめてあります。両方から、1カ月間の変化のあらましが把握できます。「市場」「自動車」はすこし性質がことなりますが、試験的にまとめています。
※西暦末尾のアスタリスクは「年度」を意味する
例)2020*=2020年度
【未来動向—焦点】
2016 未年の翌年のこの年、中国で出産が急増する
2016 選挙権年齢18歳が新たに約240万人の有権者を生む
2016 京都市が市長選での電子投票を廃止
2016 銀行のキャッシュカードが電子マネー機能を具備する
2016 繊維大手が新卒採用の女性割合を約1/2に高める
2016 切り口が変色しない遺伝子組み換えリンゴの新品種が
米国市場に登場
2016 3人のDNAを受け継いだ赤ちゃんが誕生する(両親のDN
Aの欠陥をドナーのDNAで補完)
2017 携帯電話、電気料金、ガス料金のセット割引が登場
2017 陸上男子100メートルの世界記録保持者ウサイン・ボ
ルト選手が引退(世界選手権ロンドン大会)
2017 和歌山県太地町の道の駅が完成(森浦湾くじらの海
構想)
2017 国税と地方税のデータがインターネットで繋がる
2017 新潟県がコシヒカリより収穫がおそいコメの新品種を
発売
2017 食用馬の肥育に連携した木質バイオマス発電施設が北
海道白糠町で稼働する
2017 2024年の夏季五輪開催都市が決まる
2017 北海道苫小牧市の人口が釧路市を上まわる(国の推計
は2015年中に逆転)
2018 小型ドローンによる配達サービスが、この年以降に米
国で実現する
2018 富山県黒部市のすべての農地で農作物の出荷が回復す
る(カドミウム汚染農地の復元解消)
2018 線虫の性質を利用した1回100円の低コストがん検査が
実現する
2018 質量の国際基準が物理的に定義される(国際キログラ
ム原器の廃止)
2018 クロマグロの代替魚「スマ」が市場に登場(愛媛県で
完全養殖)
2019 岐阜大がプリオン病の新薬を承認申請する(世界初)
2019 京都市下京区のJR山陰線京都—丹波口間に新駅が開業
2019 胚芽を使って肝臓を再生する治療法がヒトでの臨床研
究を達成(肝不全治療)
2020 東京五輪の開会式に人工流れ星が出現する
2020 福岡県内にイチゴの大規模農場5カ所が新設される
2020 コロンビア初の地熱発電所が運転を開始
2020 国内飲料大手が世界一の蒸留酒メーカーになる
2020 高速増殖型ボツリオコッカスの培養が鹿児島市で事業
化(燃料向け藻類)
2020 テレマティクス保険が米自動車保険の3割を占める
2020 認知症、うつ病の根治薬が治験段階に達する
2020 ジャガイモが中国「第4の主食」になる(1-3位は米、
小麦、トウモロコシ)
2020 中国の山東—遼東両半島を結ぶ海底鉄道トンネル「渤
海湾横断トンネル」の工事がはじまる(世界最長)
2021 心臓の血管を再生する貼り薬が承認申請される
2022 里親さがしを兼ねた猫カフェが猫の殺処分ゼロを達成
2023 エジプトの新運河プロジェクト(2015年完成)が、運
航料収入を140億ドルに高める(現状は約50億ドル)
2023 アイルランドがケルト語圏の中世ラテン語辞書を完成
2024* 新潟県村上市の沖合で国内最大級の洋上風力発電所が
運転を開始
2024 宇宙や水中への旅行に人気が集まる
2025 オランダのマーズワン財団が火星移住計画を開始
2025 NHK放送センターが東京渋谷の神宮前で運用を開始す
る(移転)
2025 海洋に流出したプラスチックごみの量が倍増(2010年
は800万トン)
2030 議員定数を自動的に是正する仕組みが実現する
2030 太陽光発電の導入量が約8倍に拡大し、送電設備に多
額の費用が必要になる
2030 商業用水素発電所が実用化し、日本の家庭に水素によ
る電気が供給される
2030 次世代原発でプルトニウムを燃やして処理する技術が
実用化
2033 愛媛特産の「伊予生糸」が伊勢神宮の式年遷宮を彩る
2033 この年の冬至から次の春分まで天保暦(旧暦)が決ま
らなくなる(管理者の不在。暦の2033年問題)
2039 北海道夕張市真谷地集落の社会基盤維持費が約3倍に
膨らむ
2040 神奈川の子ども(5-14歳)が2010年比で約3割減少
2045 国民年金の実質的な価値が約3割目減りする(マクロ
経済スライド導入の30年後)
【未来動向—基盤】
2016 日本、EU、豪州などが自動車の安全基準を共通化する
2016 脱時間給制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)
が施行される(4月)
2016 残業代ゼロの「高度プロフェッショナル制度」がはじ
まる
2016 主要金融機関の自己資本比率を0.5%高める日本独自
の資本規制が実施される
2016 多国籍企業の課税逃れ防止策が導入される
2016 小規模保育サービスの税を優遇する制度がはじまる
2016 民間初の月面無人探査を目指す国際レースが期限を迎
える(2016年末)
2016 青森県むつ市の使用済み核燃料の中間貯蔵施設が、こ
の年10月に事業を開始する
2016 欧州中央銀行の量的緩和が、この年以降も継続する
2017 憲法改正に関する国民投票が実施される(2016-17
年)
2017 台湾第1、第2原発の燃料プールが使用済み核燃料で満
杯になる
2017 福島第一原発の処理水が海洋放出される
2017 米連邦航空局(FAA)が小型ドローンの商業利用規制
を施行する
2017 専門学校、高専から移行した「プロフェッショナル大
学」が開設する
2017 東京電力、中部電力が火力発電事業を統合
2017 国の電子申告、納税が携帯電話での本人確認に対応
2017 米国がヨルダンへの軍事支援を、この年まで延長する
2017 衆議院選挙が改革後の新制度で実施される
2017 米海軍横須賀基地がイージス艦3隻を追加。合計の艦
船数が14隻になる
2017 産業振興策「メーク・イン・インディア」がインドの
経済成長率を7%に押しあげる
2017 辺野古の基地建設を進める政府が埋め立て区域にケー
ソン6基を設置(沖縄知事は中断を要請)
2018* 専門職による「認知症初期集中支援チーム」の支援が
全市町村に拡大する
2019 EUの資本市場同盟が実現(資金調達の多様化)
2019 全国農業協同組合中央会が一般社団法人に移行する
2019* 外来生物(外来種)被害対策の行動計画が見直される
2020 アジアの個人消費額が16兆ドルに達する(2014年比で
6割増。米国、欧州を上まわる規模)
2020 福島県が浜通りに原発以外のエネルギー設備を集約
2020 ケニア、モンバサ港の貨物処理能力が2-3倍に拡大
2020 全都道府県が外来生物の被害対策に関する条例を制定
2020 外来生物(外来種)の認知度が80%に高まる
2020 原発の総発電能力が中国で5800万キロワットに達する
2020 原油価格が1バレル73ドルの水準にとどまる
2020 兵庫県の「ひょうご子ども・子育て未来プラン」が出
生率を1.57に回復
2020 電力の発送電分離が実施される
2020 国政選挙の「クオータ制」が実現。候補者の女性割合
が30%に達する
2020 政府が、この年までロボット新戦略を推進する
2020 水産物の輸出額が3500億円に達する(2013年比で約6
割増)
2020 10種類以上のがん治療薬が治験を開始する
2020 iPS細胞を使った新薬の臨床応用が可能になる
2020 医学、工学の連携が100件の医療機器開発を実現
2020 国内のロボット市場が2.4兆円(4倍)の規模に成長
(現状は6000億円)
2020 政府のロボット新戦略がサービス業のロボット普及率
を30%に高める
2020 政府のロボット新戦略が農業用新型ロボットを20種類
以上実用化
2020 政府のロボット新戦略が高齢者を車いすに移す介護ロ
ボットを普及させる
2020 水銀を含む製品の製造、輸出入が、この年より前に禁
止になる(水俣条約の目標を前倒し)
2021 秋田県の秋田港、能代港で、このころ洋上風力発電設
備が稼働する(2021-22年)
2022 カザフスタンのアルマトイが冬季五輪を招致する
2022 北九州市がPCB無害化処理を完了する(3月末。国の想
定を約2年短縮)
2023 米軍が沖縄の普天間飛行場を、この年まで使用する
2025 認知症の高齢者が700万人に達する(5人に1人)
2025 岐阜県旧神岡鉱山地下の「ハイパーカミオカンデ」が
実験を開始
2030 岐阜県版総合戦略が、この年の出生率を1.8に回復
2030 福島県の風力発電量が400万キロワットに達する
2030 中国のエネルギー供給に占める非化石燃料の割合が、
このころ30%に高まる
2030 原発と再生可能エネルギーの合計が発電割合の50%を
占める(現状は原発0%、火力90%、再生エネ11%)
2030 日本の労働力人口が約900万人減少する
2030 第4世代原発が、このころ普及
2030 日本の電源構成に占める原発の割合が15-25%になる
2030 合計特殊出生率2.07を回復した宮崎県が101万9000人
の県人口を維持する
2035 備後圏6市2町の連携中枢都市圏構想が圏内人口82万人
を達成
2040 岐阜県版総合戦略が、この年の出生率を2.07に回復
2043 公的年金のマクロ経済スライドが、このころまで継続
する(導入は2015年4月)
2050 水銀汚泥を含む水俣湾埋め立て地が、このころ耐用年
数に達する(熊本)
2050 韓国ソウル市の王宮跡「景福宮」が復元作業を完了
2060 福島県の人口が約107万9000人に半減(2010年は約202
万9000人)
2100 岐阜県版総合戦略が県人口130万人を維持する
【未来動向—市場】
2017 フィットネスクラブ大手がカンボジアのプノンペンに
直営店を出店
2018 クロマグロの代替魚「スマ」が市場に登場する(愛媛
県で完全養殖)
2019 EUの資本市場同盟が実現(資金調達の多様化)
2019 中国で給食ビジネスを始めた国内商社が160億円を売
り上げる
2019 国内のIoT市場が約16.4兆円の規模に成長
2020 アジアの個人消費額が16兆ドルに達する(2014年比で
6割増。米国、欧州を上まわる規模)
2020 原油価格が1バレル73ドルの水準にとどまる
2020 国内のロボット市場が2.4兆円(4倍)の規模に成長
(現状は6000億円)
2020 アジアの中間層が20億人の規模に成長する
2020 国内のウエアラブル機器市場が556万台の規模に成長
2020 自動車のETC市場が世界全体で1084億円の規模に成長
2020 自動車の通信装置市場が世界全体で2694億円の規模に
成長(2013年の4倍強)
2020 関西が外国人旅行者数800万人(消費額1兆円)を達成
(2013年比で2倍以上)
2020 世界で300億台の機器がインターネットに接続する
2020 訪日クルーズ市場が100万人の規模に成長
2025 東南アジアの自動車市場が500万台の規模に成長
2030 他人の細胞を使った再生医療の世界市場が1600億円を
超える規模に成長(現状は13億円)
2045 リニア中央新幹線の大阪延伸が全国に年間6700億円の
経済効果をもたらす
【未来動向—自動車】
2016 日本、EU、豪州などが自動車の安全基準を共通化
2016 トヨタがディーゼルエンジンの生産を豊田自動織機に
集約
2016 国内電機大手が米EVメーカーと大型電池工場を稼動
(ネバダ州)
2017 米ゼネラルモーターズ(GM)がインドネシアでの低価
格車生産を開始する
2017 独フォルクスワーゲン(VW)がインドネシアに年間10
万台規模の自動車工場を新設
2017 トヨタが世界ラリー選手権(WRC)に復帰する
2017 インド西部グジャラート州でスズキの自動車工場が稼
働。アフリカ向けの輸出が増加する
2018 新開発の二輪車にABSの装着が義務付けられる
2020 自動車の環境性能に対するアジアの規制が強化される
2020 三菱自動車がフィリピンで販売10万台を達成(タイ、
インドネシア、フィリピンの3拠点体制)
2020 トヨタの次世代パワー半導体がHVの燃費を10%高める
2021 国内すべての二輪車にABSの装着が義務付けられる
2030 FCV向け水素ステーションが5000カ所整備される
未来に影響を与えた各種の会議、レポート、プロジェクト名
今月の予測に影響を与えた各種の会議、レポート、プロジェクト名などを列挙しました。社会の動きを把握する目安になります。
【海外】
・国連「自動車基準調和世界フォーラム」合意見通し
・経済協力開発機構(OECD)多国籍企業課税逃れ防止策
・国際エネルギー機関(IEA)原油市場の中期見通し
・米連邦航空局(FAA)小型ドローン規制概要
・欧州委員会「資本市場同盟」基本方針
・英国議会「3人のDNAを使った受精」承認
・中国習近平政権「エネルギー生産と消費の革命」
・中国農業省、ジャガイモ主食化政策
・エジプト政府スエズ運河「新運河プロジェクト」
・日豪経済連携協定(EPA)の発効(2015年1月)
【国内】
・政府、ロボット革命実現会議の「ロボット新戦略」
・政府、東アフリカ地域物流網整備に対する円借款供与
・関係閣僚会合「認知症施策推進総合戦略」
(新オレンジプラン)決定
・自民党、公明党、全中の農協改革合意
・経済産業省、商業用水素発電所実用化策
・国土交通省、道路運送車両法改正案
・厚生労働省労働政策審議会「高度プロフェッショナル制
度」導入決定
・日本医療研究開発機構の中長期目標案
・行政改革推進会議の内閣官房、内閣府スリム化基本方針
・環境省専門家会合の外来生物被害対策行動計画
・政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟
(超党派)発足
【企業/大学全国区】
・東京大学宇宙線研究所ほかのハイパーカミオカンデ計画
・日本アカデメイア「長期ビジョン研究会」最終報告書
・東京電力、中部電力の火力発電事業包括的提携最終合意
【自治体/地域企業/NPOその他団体】
・北海道北斗市の新函館北斗駅前第1街区複合商業施設構想
・福島県「イノベーション・コースト構想」計画素案
・福島県「県地域創生・人口減少対策有識者会議」初会合
・神奈川労働局、働き方改革推進本部設置
・神奈川県教育委員会、小中一貫教育校検討会
中間まとめ1次報告
・横浜市「調査季報」175号「横浜の人口を読む」
・新潟県、郷土の偉人“前島密翁”を顕彰する会
・富山県、黒部市カドミウム汚染農地の復元工事完了(2014年12月)
・長野県「リニアバレー構想」骨子案
・岐阜県「ぎふ創生県民会議」人口ビジョン、
地方版総合戦略骨子案
・愛知県の南海トラフ地震対策
・京都市による電子投票に関する条例の廃止提案
・関西経済連合会「関西広域観光戦略」
・兵庫県「ひょうご子ども・子育て未来プラン」
・和歌山県太地町「森浦湾くじらの海構想」
・鳥取県人口減少・地方創生プロジェクトチーム第2回会合
・備後圏6市2町の連携中枢都市圏構想
・山口県「未来開拓チャレンジプラン」案
・香川県「子育て県かがわ少子化対策推進条例」案
・愛媛県、南予9市町「えひめ南予博覧会」
・北九州市のPCB廃棄処理計画案
・福岡県みやこ町の学校再編整備計画策定委員会最終答申
・熊本県「新天門橋」(仮称)工事
・大分県「県まち・ひと・しごと創生本部」初会合
・宮崎県観光振興計画素案
・宮崎県の総合計画「長期ビジョン」改定案
・水俣湾埋め立て地の耐震・老朽化対策を考える
検討委員会最終会合
・沖縄防衛局シュワブ(H26)ケーソン新設工事1工区発注
課題
近未来、未収録の未来などは次のとおり。
【今月登場した近未来】
・TPP日米協議最終局面
・スエズ運河拡張工事完了(8月)
・厚生労働省2035年に向けた保健医療政策ビジョン(夏)
【今月登場した未収録の未来】
・国連防災世界会議「世界防災戦略」数値目標
・国連防災世界会議「防災指針」案
・国連防災世界会議「政治宣言」案
・イスラム国
【今月決着した未来】
・大間原発の安全審査開始(原子力規制委)
・再生可能エネルギー固定買取制度(FIT)新ルール
・木曽岬干拓地のメガソーラー完成
【用字用語】
1)白糠=しらぬか(北海道)
2)真谷地=まやち(北海道)
3)太地=たいじ(和歌山)
4)御楼門=ごろうもん(鹿児島)
5)瑞風=みずかぜ(JR西日本)
6)穿孔=せんこう(医学)
7)半萬燈祭=はんまんとうさい(北野天満宮)
以上、お知らせいたします。
※引用、転載は出処を次のように明記してください。
※Future Lab 未来人「Future Report 2015年3月号」
Future Lab 未来人
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