月刊 未来人
FUTURE REPORT JUNE 10 2014
毎月10日にアップデートするデータから、見どころを選んで「月刊 未来人」としてレポートしています。冒頭のグラフは2014年から何年後に何件の予測が集中しているかを示します。ヨコ軸の数値に2014を足すことで西暦に一致します。
・該当数 258/37680
※2100年超を含む
未来の動向
未来の変わり目を予感させるもの、ユニークな取り組みを「焦点」に集めました。政府の計画など、社会的に影響の大きな未来は「基盤」として別にまとめてあります。両方から、1カ月間の変化のあらましが把握できます。「市場」「自動車」はすこし性質がことなりますが、試験的にまとめてみました。
※西暦末尾のアスタリスクは「年度」を意味する
例)2020*=2020年度
【未来動向―焦点】
2015 トイレの芸術祭「おおいたトイレンナーレ」開催(夏)
2016 宮崎県が県内3河川に全水産資源の禁漁区域を設置
(2014-16年)
2016 ロシアが世界初の「洋上原発」を完成する
2016 道幅、傾斜を詳細に記録した「時空間情報システム」が
稼働
2016 富士山7合目の公衆トイレが処理能力を3倍以上に高める
2016 種まきから出荷まで全自動の「植物工場」が発売される
2016 西日本19府県のタンポポ分布調査結果がまとまる
2016 日本のラグビーが「スーパーラグビー」に参戦
2016 農作業向けのパワーアシストスーツが発売される
2017 鶏の照り焼き店がケニア国内で20店を展開
(1号店は2014年のナイロビ店)
2017 スマートフォンから転居、結婚、出生の届けが可能にな
る(1月)
2017 東京都目黒区の人口がピークに達する
2017 このころ愛媛県の茶碗蒸しが有名になる
2017 中国の全国大学入学試験(高考)から英語がなくなる
(政府外の機関に委託)
2018 東南アジアで55カ所以上のショッピングモールが開業す
る(2014-18年)
2018 毛根を培養、移植して毛髪を再生する技術が実用化
2018 米国で世界初の「太陽―風力下降気流タワー」が運転を
開始
2018 クリミア半島とロシアが直接に陸路でむすばれる(橋、
トンネル)
2019 英国初の商業宇宙港が開港
2020 東南アジア主要6カ国の中間層が3億6500万人に達する
2020 家電大手が低コストの人工光合成システムの実証試験を
開始
2020 NASAが植物の種をのせた火星探査車を打ち上げる
2020 繊維状物質「セルロースナノファイバー(CNF)」が、こ
のころ実用化
2022 アジアの後発国が貧困から脱出する(貧困層の比率は3%
未満。2010年は約21%)
2023 中国広東省広州市が生きたままの鶏の販売を全市で禁止
(鳥インフルエンザ対策)
2025 一般道に対応した自動運転車の普及率が1%にとどまる
2025 超大型望遠鏡「TMT」が太陽系外の第2の地球を観測
2025 アジア太平洋地域から飢餓に苦しむ人がいなくなる
2025 団塊の世代の看取りが本格化し、43万人分の
「死に場所」が不足する
2028 全国の空き家率が23.7%に高まる
2030 中国のキリスト教徒数が世界最多になる(2025-30年)
2039 資産1兆ドルの兆万長者が誕生する(世界初)
2040 横浜市都筑区で20-39歳の若年女性が13.4%増加する
【未来動向―基盤】
2015 日本とEUの経済連携協定(EPA)交渉が大筋合意
2015 中国の第13次5カ年計画の原案がまとまる(秋)
2015 米オバマ政権の政策推進力が減速をはじめる(次期大統
領選)
2015 東京圏1都3県の人口が3570万人でピークに達する
2016 この年の台湾第4原発(新北市)の運転開始が困難にな
る(建設再開の是非は住民投票)
2016 大阪府立大と大阪市立大を統合した新大学の開学が、こ
の年以降にずれ込む(日程を再検討)
2016 参院選の「1票の格差」を1.83倍に縮小する改革案が実
施される
2016 日本式の大人用おむつがISOの評価指針に採用される
2016 中小企業の長時間労働対策(改正労働基準法)が適用さ
れる
2016 紹介状なしで大病院を受診する患者の初診料、再診料が
全額自己負担になる(かかりつけ医への誘導)
2016 EUが韓国製の自動車、家電の関税を撤廃する(韓欧FTA)
2016 建築家ル・コルビュジエの建築作品群が世界文化遺産へ
の登録をはたす(日本を含む7カ国)
2016 仙台空港の運営業務が特別目的会社(SPC)に移行する
(民間委託)
2016 「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」が世界文化遺産
に登録される
2016 中国の第13次5カ年計画がはじまる(習指導部初の5カ年
計画)
2016 水産庁が生物学的許容漁獲量(ABC)をまとめる
2017 茨城県神栖市の沖合で国内初の洋上風力発電所が発電を
開始
2017 朝鮮通信使の関連資料がユネスコの記憶遺産に登録され
る(日韓共同申請)
2017 政府が排他的経済水域(EEZ)での海洋資源探査、採掘
の実証実験を開始する
2017 空港、水道などのインフラ運営権売却が、この年までに
集中する(従来計画は2022年)
2018
れる(選挙権と成人の年齢は棚上げ)
2018 ミャンマーの新国際空港「ハンタワディ空港」が供用開
始(年間利用者数1200万人)
2018 ロシアから中国への天然ガスの供給が開始される
2018 中国とトルクメニスタンが「戦略パートナー関係発展計
画」をこの年まで実施(2014-18年)
2018 中国の国産大型旅客機「C919」の納入が開始される
2018 政府が潮流発電技術を実用化
2020 国内の通信大手が第5世代(5G)の高速通信規格を実用化
2020 農業の6次産業化が市場規模を10兆円に拡大する(現状は
2020 ロシア政府が、この年以降の国際宇宙ステーション
(ISS)運営を離脱
2020 政府の「スマートジャパンICT戦略」が、ICT関連の海外
売上高を5倍に高める(17兆5000億円)
2020 この年までに米国が太陽光産業で5万人の新規雇用を創出
2020 中国が「全国地盤沈下防止計画」(2011-20年)を完了
(全国規模の地盤沈下対策は同国初)
2021 北海道の幌延深地層研究センターが、この年までの研究
期間を延長する(放射性廃棄物の回収可能性を研究)
2022* 北陸新幹線の金沢―敦賀間が開業する(従来計画の2025
年度を前倒し)
2024 米国が住宅、オフィス、工場などの消費エネルギーを
20%以上削減
2025 アジアの糖尿病患者数が1億9800万人に達する
(現状は約9000万人で世界の2/3)
2025 APECがアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を実現
(中国提案、日米は反論)
2025 ドイツ西部のミュルハイム・ケールリッヒ原発が廃炉作
業を完了(費用は約1000億円。廃炉開始は2004年)
2025 台湾で稼働中の3原発が、この年までに廃炉になる
(計画の第4原発は建設凍結中)
2025 有人月基地計画を進めるロシアが、この年までに4機の
月探査機を打ち上げる(2016-25年)
2025 インドの原油消費量が、日本を上回る世界第3位の規模
になる
2026 政府によるPCBの無害化処理が終了
(従来期限を10年延長)
2027 リニア中央新幹線の東京―名古屋―大阪間の全線同時開
業が実現
2030 農産物の輸出額が5兆円に拡大
2030 日本の出生率が2.1%に高まる
2030 愛知県が環境のトップランナー「環境首都あいち」にな
る
2030 政府が女性の合計特殊出生率を2.07に高める
(目標人口1億人)
2030* 北海道新幹線の新函館(仮称)―札幌間が開業する
(従来計画の2035年度を前倒し)
2030 中国が南シナ海のメタンハイドレートを商用化(埋蔵量
は同国エネルギー消費量の130年分)
2030 ロシアが月の南極に有人基地を建設
2030 世界の水需要が供給を40%上まわる
2030 繊維状物質「セルロースナノファイバー(CNF)」が1兆
円市場に成長
2035 オーストラリアの年金支給開始年齢が、70歳になる(現
状は65歳)
2039 日本人の死亡数がピークに達する
2040 ロシアが、このころまでに月面天文台を完成
2040* 洋上風力発電が国内の風力発電設備の5割弱を占める
2044 相模トラフ沿いで、この年までに70%の確率でM7級
(M6.7-7.3)の地震が発生する
2044 相模トラフ沿いで、この年までにM8級(M7.9-8.6)の地
震が発生する確率が0-5%にとどまる
2050 オーストラリアの高齢者人口(65-84歳人口)が倍増
(2010年比)
2050 東京圏1都3県の人口が3000万人を割り込む(ピークは
3570万人)
2050 東京都の75歳以上人口が全体の23%を占める
2050 米国の高齢者数が8370万人に倍増(2012年は4310万人)
2060 この年以降も日本の人口が1億人の規模を維持(有識者
会議「選択する未来」提言)
2060 20-70歳の「新生産年齢人口」が約4800万人の規模を維
持する(有識者会議「選択する未来」提言)
2100 この年までに世界の海面が26-98センチ高くなる
【未来動向―市場】
2016 国内の出版市場が1兆5000億円に縮小(ピークは1998年)
2018 家庭向け3Dプリンター市場が出荷台数100万台以上に成長
2018 アジア太平洋地域の運用資産が14兆ドルに急増
(40%増)
2020 アジアの大人用おむつ市場が日本の2-3倍に拡大
2020 東南アジア主要6カ国の中間層が3億6500万人に達する
2020 農業の6次産業化が市場規模を10兆円に拡大
(現状は1兆円)
2020 スマートシティーの世界市場が36兆円に達する
(2012年の2.7倍)
2020 二輪車業界が国内販売台数100万台と世界シェア50%超
を達成
2020 重希土類(レアアース)における中国の独占供給が、こ
の年まで継続
2020 男性の不妊市場が3億150万米ドルの規模に成長
2020 ワイヤレス給電の国際規格「Qi」の市場規模が118億米
ドルに拡大
2022 英国の5Gサービスが、この年以降になる
2030 農産物の輸出額が5兆円に拡大する
【未来動向―自動車】
2015 炭素繊維を使った自動車が生産台数の2割に達する
(約400万台)
2015
(2015年以降)
2015 トヨタが中国で年間3万台超のHVを販売
(現状は年間約6000台)
2016 道幅、傾斜を詳細に記録した「時空間情報システ
ム」が稼働
2016 EUが韓国製の自動車、家電の関税を撤廃する
(韓欧FTA)
2016 トヨタが米本社をテキサス州プレイノに完成
(約4000人が異動)
2016 韓国の自動車大手が中国で151万台を生産する
(4割増し)
2016 米自動車大手が中国で約500万台を生産する
(2012年は290万台)
2016 仏ルノー社が中国湖北省でSUVの生産をはじめる
(年間15万台)
2016 日産自動車がアフリカでの販売台数を2倍に拡大する
(2012年末は11万台)
2017 独フォルクスワーゲン(VW)が中国市場に低価格車を
投入
2017 富士重工業のプラグインハイブリッド車(PHV)が、
米国市場に登場する
2017 センサーで自動車タイヤの状態を監視するシステムが
実用化
2018 伊フィアット・クライスラー・オートモービルズが
世界市場で700万台を販売(2013年は約440万台)
2018 自動車のインターネット接続が400億ユーロ市場に成長
2020 国産自動車用エンジンのCO2排出量が2010年比で3割減少
する
2020 インドの二輪車市場が2000万台の規模にとどまる
2025 一般道に対応した自動運転車の普及率が1%にとどまる
未来に影響を与えた各種の会議、レポート、プロジェクト名
【海外】
・核拡散防止条約(NPT)イラク代表団の合意期限表明
・アジア開発銀行(ADB)の年次総会向け予想
・APEC貿易相会合の中国提案
・米オバマ大統領の太陽光、省エネに関する行動計画
・米バーモント州の遺伝子組み換え作物を利用した食品
の表示義務に関する法案
・英官民の宇宙港計画
・ロシア連邦宇宙庁、ロシア宇宙科学研究所、モスクワ
大学の月有人基地計画案
・ロシア副首相の国際宇宙ステーション(ISS)
協力見直し発表
・中国の全国地盤沈下防止計画(2011-20年)
・中国トルクメニスタン友好協力条約
・中国の次期5カ年計画に向けた企業提案募集
【国内】
・日英首脳会談共同声明
・日本創成会議「全国1800市区町村別・2040年人口推計結
果」
・経済財政諮問会議有識者会議「選択する未来」委員会の
人口減、高齢化対策提言案
・政府有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」提言
・国民投票法改正案(衆院通過予定)
・参院選挙制度協議会座長案
・政府産業競争力会議の農業成長戦略案
・成長戦略に向けたIT総合戦略本部有識者会議方針
・政府、地震調査委員会の相模トラフ沿いの地震活動の
長期評価見直し
・自民党「超電導リニア鉄道に関する特別委員会」決議
・国際協力機構(JICA)、警察庁の警察官ブラジル派遣
・総務省「スマートジャパンICT戦略」
・国土交通省有識者会議の新青森―新函館間140キロ走行
に対する代案(2013年3月)
・国土交通省の整備新幹線の開業前倒し試算(与党整備新
幹線建設推進PT会合)
・環境省の潮流発電技術実用化推進事業(2014-18年度)
・環境省検討委員会の新計画案了承
・水産庁水産総合研究センター北海道区水産研究所のスケ
ソウダラ調査
・文化庁「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」推薦方針
【企業/大学全国区】
・二輪車業界、関連自治体の市場目標
・メーカー8社と日本自動車研究所の
自動車用エンジン共同研究
・トリドール「teriyaki JAPAN」
・立教大学の創立150周年国際化戦略
【自治体/地域企業/NPOその他団体】
・横浜市、タイ港湾庁のパートナーシップ覚書
・石川県小松市「曳山250年」
・愛知県環境審議会第4次県環境基本計画案答申
・大阪府戦略本部会議の大学統合延期
・奈良県明日香村の活性化戦略
「明日香まるごと博物館づくり」
・おおいたトイレンナーレ(大分市商工労政課)
・日本漢字能力検定協会「漢字博物館・図書館」計画案
・葛西臨海水族園、日本野鳥の会などの
「トビハゼ保全 施設連絡会」生息調査
課題
近未来、未収録の未来などは次のとおり。
【今月登場した近未来】
・APECのFTAAP工程表(年内)
・福井県美浜原発1、2号機運転継続の是非(関電)
・台湾第4原発の建設(凍結中)
【今月登場した未収録の未来】
・米比軍事協定(米軍の再駐留)
・アジアの肥満(ソフトドリンク課税)
・仏協力で「もんじゅ」復活(詳細は未定)
・「看取り士」の普及
・高レベル放射性廃棄物の処分地の応募方式見直し
【今月決着した未来】
・米国務省、核弾頭報告書
・富岡製糸場の世界文化遺産登録
・茨城東海第2原発再稼働申請
・肥満の子ども、アジアが最多
【用字用語】
1)別海町=べつかいちょう(北海道)
2)南牧=なんもく(群馬)
3)設楽=したら(愛知)
4)日吉津村=ひえづぞん(鳥取)
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